急性扁桃炎へんとうえん

いわゆる扁桃炎です。扁桃に細菌が付いて発症します。

主な症状は、のどの痛み・発熱です。炎症がひどいと痛みのため、食事が摂れなくなってしまいます。

治療は、抗生剤・鎮痛剤の内服をしていただきます。炎症がひどい場合は抗生剤の点滴を行います。痛みや発熱に対して座薬も使用します。

炎症がひどくなり、扁桃腺の周囲へ炎症が広がり膿が溜まってしまう「扁桃周囲膿瘍のうよう」となってしまうと、扁桃腺の脇を切って膿を出す必要があります。

繰り返す場合は扁桃摘出術を行うことがあります。

原因

感冒(風邪)、疲労などをきっかけにして、扁桃に細菌が感染して起こります。連鎖球菌、ブドウ球菌などの細菌が原因となります。

症状

  • 咽頭痛(のどの痛み)
  • 嚥下困難(食事が飲み込みにくい)
  • 耳痛
  • 頸部痛
  • 全身倦怠感
  • 発熱

検査

  • 口蓋扁桃の発赤、腫れ、膿栓付着(扁桃に白い斑点が付いている)、頸部(顎下部に多い)リンパ節腫脹
  • 細菌検査
    扁桃を綿棒でぬぐって検査に出し、細菌の種類、効果のある抗生剤を調べます。炎症が長引いた際の抗 生剤選択の参考にします。
  • 溶連菌迅速試験
    溶血連鎖球菌が原因と思われるときに行います。5分程で結果が出ます。

治療

  • 抗生剤内服
    抗生剤・鎮痛剤などを内服して治療します。痛みが強かったり発熱がある場合は、座薬を使用します。溶連菌感染の場合は、症状がとれてからも数日内服を続けないと細菌が完全に消えないことがあります。
  • 抗生剤点滴
    炎症がひどい場合は抗生剤点滴をします。可能であれば朝夕1日2回行った方が効果があります。食事が摂れない場合は水分も点滴で補給します。
  • 扁桃周囲膿瘍切開
    炎症がひどいと扁桃腺の奥へ膿が溜まってしまいます。その場合は、針で刺して膿を抜いたり、切って膿を出します。
  • 扁桃摘出術
    扁桃炎を繰り返す場合は、炎症が治まっているときに、扁桃を摘出し、再発を防ぎます。

    ※溶連菌感染症の場合は、腎炎を合併することがあるので、3~4週間後に尿の検査をする必要があります。

伝染性単核球症

扁桃にウイルス(Epstain-Barr virus)が感染して、扁桃炎の症状を起こします。ウイルス感染なので、抗生物質の薬が効きません。対症療法を行い、自然に治るのを待ちます。

特徴

扁桃腺に厚い白斑が付着します。

頸部のリンパ節腫脹が大きかったり、頸部の下の方まで腫れることが多いです。抗生剤を使用してもなかなか治りません。

血液検査で、肝機能障害を伴うことがあります。

治療

抗生剤は効きませんが、細菌感染も合併することもあるので使用します。痛み・発熱に対して鎮痛剤内服や、座薬を使用します。

食べられなければ点滴で水分補給をします。